『ロボット・ハート・アップデート』公式サイト
1ページ
2ページ

 序幕

 ホルスターに収められた拳銃を、クロエはちらりと確認した。
 その黒い銃身に込められているのは、実弾だ。
「……やっぱり私たち、戦うしかないみたいね」 
 普段通りの凛とした声音を響かせてから、クロエは不敵にも笑ってみせた。
「ああ、どうやらそのようだ」
 クロエと相対する人物は、小型のマシンガンを右手に構えたまま冷淡に答える。
 その目には、殺気が宿っていた。

 クロエはひとつ深呼吸して瞬きをすると、改めて周囲を見た。
 ここはナオトたちが働く家電店の最上階だ。
 しかし、今は二人のほかに人の姿はない。
 夜空が見える吹き抜けの屋上には、かすかな風の音だけが響いている。その静寂のなかで、ときおり遠くから銃声が聞こえてくる。島のあちこちが戦場になっているのだ。

 目の前の人物の殺気に、クロエは思う――これ以上、言葉を交わしても無駄だ、と。
 だから、覚悟を決めることにした。
 浅くひと呼吸してから、銃に手を伸ばす。
 その瞬間、相手も動いた。
 そして――、

1ページ
2ページ
『ロボット・ハート・アップデート』公式サイト