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著者 暁佳奈インタビュー

――『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』がアニメーションになると、初めて聞かれたときのお気持ちを改めてお聞かせください。

ふんわりと生きている方なので「なったらいいですねえ」とまるで他の誰かの人生のように受け止めておりました。事が大きすぎて実感がなかったのもあります。
しかし、お話が進むにつれ京都アニメーションさんも本気だと気づき、私も恋をしたての子どものようにじたばたして喜んだり不安になったりし始めました。お話し合いでこう会話したのを覚えています。
「それまで生きているでしょうか。すごく見たい映画の公開日が先だと死んでいるんじゃないかと思うのですが」「我々の業界ではあっという間ですよ」と。本当にあっという間でしたね。すごくたくさん時間と努力と情熱を注いでくれました。私は幸せものです。そして今日も元気に生きております。

――アニメーションも第8話まで放送されました。これまでご覧になっていかがでしたか? ご感想をお聞かせください。また、周りの方から何か反響はございましたか?

毎週映画を見ているようです。自分が各話短編にしたせいもあるのですが時間が濃密で、その中に繊細な感情の機微や美しい情景、音楽、演者さんの熱意、たぶん私が素敵だと感じるものすべてが入っていて、一話終わる度に「嗚呼、美しいなあ」と吐息を漏らしてしまいます。そしてご覧になられた皆さんと同じくヴァイオレットの成長に一喜一憂しています。

実は、自分が物書きだと周囲にほとんど公言していないので生活に変わりはありません。
ただ、最近地下鉄の中で女の子二人がヴァイオレットの話をしているのを聞いてしまい、その、とても嬉しかったです。皆さん本当に見てくれているのですね。

――原作小説から変わっている部分もございますが、そういった点は、原作者としてどのようにお感じですか?

小説とは情報量が圧倒的に多い、作者一人による統率された世界です。勿論、編集さんの助言や素敵な挿絵による世界観の肉付けがされますが基本孤独な作業です。対してアニメはあらゆる分野の仕事人が織りなす総合芸術。戦う土壌、シェフの数が違います。私の世界観をよりたくさんの方に伝える為にどうしたらいいのかと悩んで下さった結果ですが、原作からの方は戸惑いもあるかもしれません。どちらも『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』であるというのは、きっと全てが終われば分かると思います。

――3月23日発売の『外伝』はどのような1冊になりましたか?
「王女と自動手記人形」は上下巻には含まれず、アニメーション化もされていますが……。

外伝は上下巻を読んで下さった方にとってのボーナスステージにしましょう、と編集さんと決めて構成させて頂きました。未収録、書き下ろし含めてたくさんの方に喜んで頂ける内容となっております。スポットライトが当たらなかったキャラクターにもちゃんと設定はありまして、日の目を見られて作者も嬉しいです。伏線は既に張っていたのですがベネディクトのファンの方は読まれたら驚かれるかもしれません。
「王女と自動手記人形」はアニメでも評判の話数になったようなのであのお話を好きな方にはぜひ手にとって頂きたいです。
これを読まれてから上下巻をまた読み直して頂くと、更に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の世界観が楽しめると思います。

――これから物語はクライマックスに向けて盛り上がっていきますが、ファンの皆様へメッセージをお願い致します。

アニメからヴァイオレットを知って下さった方、小説からヴァイオレットを知って下さった方、どちらの方もご覧いただき本当にありがとうございます。貴方が関わって下さったこと、それだけでとても嬉しいです。八話、とてもすごかったですね。この物語を、ヴァイオレットを好きになって下さった方はここまで来たら最終話まで気を確かに持って一緒についてきて頂きたいです。私も作者なのにどきどきして心が千切れそうです。でも、一緒に見ていますよ。どうか、最後までこの女の子の「愛してる」を見守って頂けましたら幸いです。