special

KAエスマ文庫

ヴァイオレット・エヴァーガーデン
シリーズ刊行10周年記念企画

著者 暁佳奈インタビュー〈後編〉
創作活動と暁佳奈

4.物語を書き続けてこられた原動力(パワー)は何でしょうか?

書いたもので人様に喜んでいただくことが喜びです。
これを言うとちょっと変な人に聞こえてしまいそうなのですが、物語を書くこと以外、特にしたいことがない人間なので、成果物で喜んでいただけることが人生の喜び、というようなところがあります。
世界観を一から構成して、物語を編み、それらが現実世界に放たれて様々な形になっていくのを見るのも好きです。ただ書いて終わりではなく、発展するものがある。
そうした経験はやはり一次創作をする人間であり続けないと得ることが難しい感動体験だと思います。
作った世界観が世に及ぼす影響を、水面の波紋を遠くから見たい。
頑張って作ったもので喜ぶ誰かの姿を木の陰から隠れて見て微笑んでいる……そんな妖精ポジションが非常に性に合っています。
まったく人前に出ないのも一応理由がありまして、単純に私が前に出るのが苦手な性格なのもありますが、不要な作家情報でお客様の読後の余韻を壊したくないからです。
とはいえ、こうしたお客様に感謝の気持ちを伝える機会などは大変ありがたく思っています。
本を手にとってくださったすべての皆様が、物語の世界を存分に楽しんでくださることが執筆のパワーとなっています。

5.これから作家としてどのように活動をされていきたいですか?

ありがたいことに色々経験させていただきましたが、新しいことにはどんどん挑戦していきたいのでやっていない形態の物語執筆でしたらなんでも興味があります。
暁佳奈の活動を追ってくださっている方がいらしたら、なんとなくわかるかもしれないのですが、いきなりまったく違うジャンルのお仕事を発表することがあります。
お声がけいただいて実現していることですが、大変ありがたく思っており、色々と勉強できて嬉しいかぎりです。学んだことをまた小説に持ち帰り、その上で、活動を応援してくださる方々に新しい面白さをどんどんお届けしたい気持ちです。
小説は小説、ゲームはゲーム、劇は劇で考慮すべきこと、配慮すべきお客様の存在も変わってくるので、そうしたことをすべて込みで、最善のサービスをどう届けるかというのを考えるのも好きです。
あと、執筆活動とは別に、画像やイラストを扱えるほうが他の業種の方と意思疎通がしやすいこともあるので、その分野も勉強していきたい気持ちがあります。
本を買ったりして、ソフトを触ってみて画像編集を学んではいるのですが、独学では頭打ちなところがあるので講座を受けたいとはずっと思っています。

6.最後に読者の皆さまへのメッセージをお願いいたします。

ヴァイオレットを愛してくださるすべての皆様へ。
長い年月を経ても変わらず好きでいてくださること、とても嬉しく思っています。
本当に、それが当たり前のことではないからです。
月日が過ぎていき、何か一つの作品を鑑賞することが難しくなってしまった方。
成長と共に、好きになる作品の傾向が変わった方。
ライフスタイルが変化して、もう本やアニメは卒業したんだという方。
それぞれがそれぞれの人生を生きている中で、私達、作り手側は皆様が手にとってくださるのを待つしかない受け身の立場です。
エンターテインメントとは、物語体験とは、人生に惑う方への薬となるべき存在ですが、必須ではない。
触れずとも生きていけます。いつしか忘れ去られても仕方のないものではあります。
しかし、皆様はヴァイオレットが帰ってきたとなると『忘れていないよ』と集ってくださる。
『まだここにいるよ』、『大好きだよ』と声にしてくださる。
そのお言葉が、熱量が、応援が、作り手達に何度でも立ち上がる勇気をくださります。
最大限の感謝を込めて、「ありがとうございます」と伝えさせてください。
本当にありがとうございます。
私もまた、小説のあとがきで何度も言っておりますが、皆様を応援しています。
いつの時代に作品をとっていただいても、いまを生きている貴方を応援しています。
明日が来るのが苦しい時にいたとしても、そういう貴方を愛するために紡がれた本が世界には存在するし、同じ共感を得た仲間がたくさんいるのだということをぜひ覚えていてくだされば幸いです。
ご縁があったすべての方に、素晴らしい瞬間が訪れますように。