クリエイターコメント

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作者 志茂文彦氏

夕焼けに染まる白い灯台。あざやかな初夏の緑。きれいな風と水と土に囲まれて伸びやかに暮らす、不思議な三人の子どもたち。そこに迷いこんでくる、少しがさつだけれど気のいい家出少女。お互い最初はぎこちなく、でも次第に心を通わせ、信じ合っていく。
やがて夢と現実、過去と現在が交錯し、さまざまな人の想いが夕空の雲のように微妙な色合いを乗せて重なりあう。
……という感じの話を書いてみたいと、以前から思っていました。うまくいったかどうかはともかく、作者は楽しく書くことができました。読者の皆さんにも楽しんでいただければ幸いです。

※なお、今年三月の震災の影響を考え、連載時の「大波が寄せて」などの描写を多少やわらげました。本の「あとがき」で触れる余裕がなかったので、この場で書き添えておきます。被災地の皆様には心からお見舞い申し上げます。東北出身者の一人として(地元の被害は軽微でしたが)、一日も早い復興を願っております。

イラストレーター 門脇未来

こんにちは、門脇です。
今回文庫化するにあたり、光栄にも表紙と書き下ろし短編の挿絵を描かせていただきました。
久しぶりに水穂たちに会い、「あらあら大きくなって!」と声をかける親戚のおばちゃんのような心境でした。そのせいか先走る大きく成長したイメージを押さえ込みつつ、外の世界でちょっとずつ逞しくなろうとしている4人を思いながら描いてみました。
連載当時の絵は今改めて見ると我ながら未熟な点も目立ちますが、愛だけは詰まっていると感じます。そんな絵も含め、1冊にまとめられた「夕焼け灯台の秘密」を作り手・読み手として楽しみにしています。