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『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン
公開記念フェア

京都アニメーション大賞初の大賞受賞作品となった『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。2015年に文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』上巻が発売されると、下巻・外伝と続々新作を刊行。そして今年2020年3月、文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン エバー・アフター』の発売をもって原作シリーズは完結を迎えました。さらに、TVアニメ化、外伝映画化を経て、9月18日より『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が公開!

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を応援してくださった皆様へ感謝の気持ちを込めて、【KAエスマ文庫キャンペーン】『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』公開記念フェアを開催いたします!

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文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズの著者 暁佳奈のスペシャルインタビューを2週にわたってお届けいたします。
インタビュー前編「文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を書き終えて」では、暁佳奈に文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズ完結後の思いや、各巻の執筆中に考えていたこと、作品に込めた思いなどを語っていただきました。

前編
文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を書き終えて

──シリーズ完結巻・文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン エバー・アフター』の発売から約半年がたちましたが、ファンの方々からの反響や暁先生ご自身の心境の変化などはありましたか。

大賞を頂いた時から、その栄誉にふさわしい働きをしなくてはとずっと思っていました。
それが出来たかどうかはいまだにわからないのですが、今後の活動の応援や感想のお手紙などを頂き、ようやく一つの冒険が終わったのだと実感出来ています。ずっと離れていた故郷に帰ってきた気分です。
けれど、あまり寂しい気持ちはありません。エバー・アフターという題名の通り物語その後がずっとお客様の中に続くように描いたので、自分としてはいつもヴァイオレット・エヴァーガーデンの世界は胸の中に存在しますし、お客様の中にもあるだろうと思っています。ヴァイオレット達がどういう未来を描くのか、書籍とアニメーションでは世界線が違いますがその想像が楽しくなれるところは同じかと思います。
昨今は紙媒体の書籍は購入される方も少なくなっていますが、紙で読んだ時にこそ効果を発揮する構成で小説は挑んでいるので、それを手にとってくださっただけでも嬉しいのに感想までくださる方には感謝しかありません。いつも本当にありがとうございます。

──上巻、下巻、外伝、エバー・アフターと4作品に渡って刊行された文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズですが、各巻を執筆されていた頃を振り返ってみていかがですか?

上、下巻は投稿作を改稿したものなのでその当時の「私が大人になっても忘れたくないもの」がたくさん詰まっています。外伝、エバー・アフターになると「貴方に忘れないで欲しいもの」を多く詰めるようになったので人間的に少し成長を感じます。より、誰かの為のストーリーテラーでありたいと願うように変化したのではないかと思います。
投稿作を経て商業作家として年数を積んできましたが、同じくらいヴァイオレットも少しずつ大人になり、少女から女性へと開花しました。自分の少女期はとうに過ぎているのですが、上下巻は特に幼い自分が焼き付いているなと思います。
今の私はむしろこの当時の『幼さ』を取り戻したい気持ちです。誰しも自分という個の中に『子どもの頃のわたし』を置いているものだと思います。 大人になってからはもう無感覚になってしまった痛みや、あの頃は嬉しかったけど今は特別ではなくなってしまったもの。そういうものは普段は忘れていますが、ふとした時に背中から殴られるように切ない一撃を与えてくれます。小さな自分を覚えておくのは作家としてとても大事なことだなと一つ大人になる度に自覚しています。そして帰ってきてと願っています。

──文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は情景やキャラクターの所作などの繊細な描写が印象的でした。そういった文章表現はどのようにして生まれるのでしょうか。

子どもの頃から読書が好きでした。学校の図書館の本を年間三百冊くらい読んでいた時期もあります。
あまりジャンルを狭めず、本当に何でも読んでいました(暇な時は国語辞典もあ行から読んでいました)。父が読書家の為、読書環境も良く、様々な本に触れることが出来た少女時代だったと思います。その中でも特に海外児童文学と少女小説を好んでいたので自分ではこの二つの良いところ……海外児童文学では思わず異国に思いを馳せてしまうような情景を、少女小説からは文体自体がきらきらと光る宝石のような表現を学びました。
あとは主に映画です。自分の好きな映画、その撮影方法、カメラの回し方、役者さんの表情、流れる音楽、あっと驚く展開。映画を作るように文章を紡いでいる感覚が、今の文体ではあります。
文体というものは人によって結構好き嫌いがあるものです。漫画家さんの絵柄のようにはっきりと目で見てわかるものではなかったりもしますが、個性的な人は読んですぐこの人だとわかり中毒になるような感覚をくれます。私もそのようにもっと精進したいと思っています。

──文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を執筆される際の原動力になっていたものはありますか。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を世に出す、というのが決まった時点で様々なことを考えました。
誰もが経験出来ることではない機会です。その挑戦をしたかった人がたくさん居ます。
大きな運命の輪の中で自分が出来る限り、最良の結果をもたらす義務が生まれました。
京都アニメーションさんの賞は特に最初からメディアミックスされる可能性があるものなので責任は重大です。多くの人が関わり、広く世界へ羽ばたいていく作品となります。
私一人が北の国の小さな部屋で、こつこつと物語を描き、ただ楽しかった時期は過ぎ去りました。与えられた試練と立ち向かうべき時が来たなと当時思いました。
作品は世に出ると速やかにジャッジされます。その裁定は私という個人を否定するものではありませんが、作家は往々にして自分までも否定されたかのように感じます。そういう苦しみや悲しみをこの作品には味あわせたくないと思いました。ヴァイオレットは私が一番素敵だと思う女性像だったから思い入れもありました。
原動力があるとすれば『絶対にこの戦い負けたくない』という強い思いです。
きっとそれはどんなお仕事でも必要なことだと思います。

──文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は暁先生にとって、どのような作品になりましたか。

読み返せばいつもその当時の気持ちが浮かんでくる手紙そのものです。
お客様に届けたいと思った気持ちは恥ずかしがることなく素直に書いています。貴方が元気でいてくれますように、貴方が楽しんでくれますように、いまつらいことがあっても読んでいる間は少し忘れられますように。込めた気持ちは永遠で、色褪せることはありません。私としては、すべての傷ついた人達に、というつもりで書いていました。
しかしそれは私の勝手なメッセージであり、受け取る人はどういう人かは作品を出してからもよくわかりませんでした。女性の方が好む気がするけれど、男性が読めない内容でもない。子ども向けとも言えないし大人向けとも言い切れない。この作品は何なんだろうなと書いた私も思っていたのですが巻数を重ね、アニメや映画が公開され原作小説も周知されていくと、あまり性別や年代が関係ない作品だということがわかりました。
お客様からのお返事はこうして反響として頂けています。私の手紙を読んでくれて、本当にありがとう。私も貴方が大好きですという気持ちでいっぱいです。

後編
物語を書くということ

──小説家を志そうと思ったきっかけを教えてください。

創作をする、ということは私の中で突然降ってきた願望でした。人生がうまくゆかず、もうこれから良いことは何もないのかもしれないと思っていた時期がありました。
何だかくすぶっている時に、そんな自分でも何かが生み出せるという感慨を得られるのは創作だけだと思いました。
人と人同士で得られる喜びや共感、そこから生まれる自己肯定は創作で得られる自己肯定感とまったく違うものだと思います。私は私を肯定する為に何が何でも創作を……出来れば作家になりたいと思いました。
よくよく考えると「いや、だからなぜ?」と自分でも疑問なのですが、傷ついている頃に物語に励まされていたから作家になりたかったのかもしれません。
文章で物語を紡ぐことを選んだのは単純に一番手軽な方法だったからです。
やり始めるとこれは大変なことであると気づきましたが、幸いなことに書くのはとても楽しいことでした。
今も楽しいです。楽しいから続けています。でも、それも受け取ってくれる相手が居てこそだと思います。究極的に言えば、私は自分がしたことで誰かに喜んで欲しいだけなのだと最近気付いています。それもまた自己肯定です。

──執筆活動に関して、応募作『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を京都アニメーション大賞に応募されるまでのエピソードがあれば教えてください。

よし、小説家を目指そうと決めはしましたが実際に公募に送るようになるまでは少し間がありました。私は書くことがすっかり楽しくなってしまい、一人遊びが得意なこともありしばらくはずっと短い話を書いて、書いて、と文章の練習をしていました。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が短編連作形式なのは私が一人遊びをしすぎた結果でもあります。長編を書くより短編を書くほうが楽しく、短い文章の中でいかに綺麗に起承転結するか、ということにものすごくハマってしまったのです。短編小説が得意なことは作家としての持ち味でもあります。しかし公募となると長編小説が主戦場になり、門戸が狭くなってしまう。悩んだ末に、じゃあ短編をつなげたら良いじゃないかと決めて出来たのが今の小説スタイルです。幸いなことに、これはアニメにするにあたりとても良いハーモニーが生まれる書き方となりました。

──アイデアを物語にしていくまでの過程を教えてください。ストーリーやキャラクターはどのようにして作り上げていますか。

基本的には「この瞬間を描きたい」という情景がぼんやりと浮かび、そのゴールを目指してすべてを整えていきます。私はプロットをあまり作らない人間なのでヴァイオレットを書く時もすべての話が決まっていたわけではありませんでした。
『あいってなんですか』と、少女が最も愛する人に意味もわからず尋ねるという瞬間が思い浮かび、それを描く為にすべての話を肉付けしていった形になります。
キャラクターに関しては主軸となる人物を決めると、その人はどんな人を好きになるか、どんなことを悲しみ、怒るか、と一つずつ確認していきます。
そうすると自然と、『ではこの人物が頼るならこういう人だろう』と別の人物が浮かび上がってきます。人間もそうではないでしょうか。
一組の恋人や、親友同士が居たとして、どうして彼らは互いに惹かれたのかというのは成長過程で得た経験と環境が大きく起因してきます。ヴァイオレットがギルベルトに惹かれたのは彼女の人物像として惹かれるであろう人物として導き出された当然の結果でした。
読む人も人間である以上、キャラクターにもそれ相応の背景が必要であると思います。

──「物語を書く」ことに必要なことは何だと思いますか。

物語を書くこと自体に必要なことは正直に言うと何もありません。
私が『創作をしよう』と突然決めたようにやる気さえあれば誰でも出来ます。
読書経験や映画鑑賞を推奨しますが、それがなくたって人にはそれぞれの人生があり、生まれてから感じてきたことをただ筆にのせたり、自分が読んでみたい物語を誰も書いてくれないから書くということで十分果たされます。
しかし、「物語を書き続ける」ことと「商品として届ける」ということが追加されると全く違うことになってきます。
特に書き続けること、というのがもしかしたら一番大変かもしれません。
ここに至るまでに私よりももっと物語を書くことがうまい人が筆を折ったり、創作を嫌いになってしまっているのを見ています。
単純に人生のステージが変わって創作をしている場合ではなくなった人も多いでしょう。
どんなことがあっても書き続ける、というのは大変難しいことです。
そしてそれを商品として届けるとなると、並々ならぬ努力が必要となります。
努力すること、続けること、それが得意な人は物語を書くのに向いています。

──最後に読者の皆様へメッセージをお願い致します。

大きな長い旅を一緒に歩んでくださった皆様に本当に感謝しています。
まだアニメも始まっていない頃に書店で上巻を手にしてくれた貴方。アニメが終わった後に原作小説の存在を知り手にとってくれた貴方。本作はどんな時期の貴方も楽しんでくれるように考えて作りました。そして本を閉じて、もうこの物語の先は無いんだと思っている貴方。けしてそんなことはありません。彼らがその後どうしているか想像の余地がある終わりとなっています。
つまり、終わっているのではなく永遠に貴方の中で続いているのです。
貴方が道端で菫の花を見つけた時にもしかしたら彼女を思い出すかもしれない。
貴方が誰かの為に自らを律しようとする時に彼を思い出すかもしれない。
貴方が読んでくれた物語は、貴方の中で芽吹き、身体の一部として存在していきます。
それはどんな物語もそうなんです。
私は読書が好きだからこそ、この旅の終わりまで付き合ってくれた貴方に寂しい思いをさせたくありませんでした。
貴方の中で物語は続いていますよ。いつも一緒にいてくれてありがとう。
私はいつでも貴方を応援しています。どうか元気でいてください。

第2弾 振り返りと自動手記人形

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第3弾 Coming Soon...