普通の家。
幸福ということ。
僕は幸せに育った。マチも幸せに育った。
僕らはとても幸せな時間を過ごしてきた。
けれどもし僕とマチの二人が揃っていたら。
そしたらもっと幸せになれるんじゃないかと、
何の根拠もなく、でもどうしようもなく、
そう思ってしまう。
それはただの無い物ねだりなのかもしれないけれど。
時間
第10回京都アニメーション大賞奨励賞受賞作品
これは一人の男が貫いた、あまりにも切ない愛の物語。
大学で研究室の助教を務める有馬覚は、
同大学に通う時任真千子との結婚も決まり、
平凡だけれど幸せな人生を送っていた。
だが禍は突然やってくる。
正体不明の長球体――それに触れてしまってから、真千子の記憶が少しずつ消え始めていく。
彼女を救おうと「それ」の正体をさぐる覚は、予想だにしない答えに辿りつく。
それは幸せの真っただ中にいた2人に襲い掛かった唐突な理不尽。
2人に待ち受ける、衝撃の未来とは――。
KAエスマ文庫史上最大の感動がここに。
発売記念コメント
著者
鏡 はな
イラスト
やなぎ楓
美術・背景
内山周哉