2025.05.23

基盤作り

入塾して約一か月半が経ちました。
第一線で活躍されている方々と同じ空間で作業をすることに最初は慣れずにいましたが、今ではこの張り詰めた緊張感を心地よく感じられるようになりました。インプットの日々で頭がパンクしそうになる大変な日もありますが、新しいことを学べる喜びがモチベーションとなり、毎回の授業を楽しみにしながらスタジオへと向かっています。

一年間の目標ですが、プロのアニメーターになることは大前提で、そのうえで基礎画力を上げ、これからのアニメーター人生の基盤を作る一年にしたいと考えています。
教室に通っていて痛感したことは「画力不足」です。ただひたすら描けばよいのではなく頭を使って考え、研究しながら描く。これがすごく難しい。やってみたい演技があっても画力のなさで表現できないことがたくさんあります。見えない目標に向かっているようで逃げ出したくなる時もありますが、ほんの少しずつでも成長している自分の姿を確認できるたびに頑張ろうという気持ちになります。最初の授業で講師の方が「天才ほど人一倍努力をする」とおっしゃっていてすごく嬉しい気持ちになったのを覚えています。理由なく天才の人はおらず、努力をすれば何にでもなれるような気がして、日々の練習に身が入り、やる気にも繋がっています。

これからたくさんの壁が立ちふさがると思います。その壁を前にしたときにちゃんと越えられるようしっかりとした基盤を作っていきたいです。
すでに一か月半経っていることに危機感を持つとともに、後悔のない一年にしたいと思います。

現在私は「障害物を越える」という課題に取り組んでいます。

柵を飛び越えるという動きで、一度は経験したことのある動きであるのに自分で実際にやってみてもなかなか描くことが難しい課題でした。

自分が思っているよりも動きが大きかったり、固定概念でイメージしているところがあったりしてなかなか動きを自然に見せるような動きの演技プランを立てることに苦戦を強いられました。

また、パースもかかっていることもあって描くのが難しいポーズになるところもあり、何度も描いては消してのトライ&エラーでした。

この課題からは、実際の動きをよく観察して、何が要点になっているのか、動きの支点がどう変化したのか、動きのエネルギーの流れはどのようになっているのかなど、様々なところに注目してそれを一つ一つ汲み取ることの大事さを学びました。これをしないとあやふやなイメージのまま描くことになり、動きがチグハグになったり不自然な動きの流れになったりしてしまいます。

自然な動きを表現するためにはもっと誠実に観察をして様々な発見をしていかなければならないのだと改めて痛感しました。

この課題から得た学びや発見を他の課題にもしっかりと反映させて、自分がイメージした「自然な動き」を描けるようにこれからも鍛錬していきます。

卒業制作が始まり早くも二ヶ月が経ちました。
私は日本史の〈戦国時代〉を題材にした作品を制作しております。
卒業制作はこれまでの半年間でインプットしたアニメーション制作のための知識・技術をアウトプットする時間であります。この期間で塾にて教わった授業内容が卒業制作になって再学習されているなと実感しています。その中で特に重要だと実感したものが二つあります。

一つ目はアニメーションにおける「メリハリ」です。これは「武士が主人公に向けて弓矢を放つ」シーンを制作している時に実感しました。
始めに「武士が弓を引き、放った弓矢が勢いよく進んでいく」一連の動作を自分が思うイメージのままに制作しました。しかし完成映像からはどこか迫力に欠ける平坦な印象を感じてしまうものになってしまいました。
そこで講師の方にアドバイスを伺うと「メリハリを意識してみたら?」という助言を頂きました。助言を受けて、「武士が弓矢を弦いっぱいに引き絞る」=「タメ」の時間と、「放たれた弓矢が一瞬にしてトップスピードに達する」=「開放」の時間の二段階を意識して修正をおこないました。すると「ズバッ」とスピード感と迫力のある作画を表現でき、イメージに近しい映像をつくることができました。タメと開放、静止と運動、緊張と緩和などを包括的にした「メリハリ」がアニメーションにおける根本的な原理であり、この体験を受けて作画に「メリハリ」が加わることがいかに重要かこれまで以上に感じることができました。

二つ目は「観察」です。
上述した弓矢を放つ作画をするうえで、実写やアニメの弓道シーンを注意深く観察しました。スロー再生で一コマずつ映像を観てみると、弓矢をカメラが捉えきれず、弓矢が二重にブレていたり、しなって「くの字」に湾曲していたり、といった一コマが映像の中に潜んでいました。このような一コマが加わることでスピード感のある映像が生まれているのだと知ると同時に、ただ呆然と映像を見ているだけではこのような発見には至らないのだと自身を省みる良い機会となりました。
この体験を受けて「観察」の深度が高まったと実感しています。今後もあらゆる映像をコマ送りで見ることを意識しておこなっていきたいと思います。

これまでの塾で学んだ「メリハリ」と「観察」がより一層大切であるとこれまで二ヶ月間の卒業制作で気づかされました。この経験を残りの一ヶ月間に生かして、完成した作品が理想の映像となるよう頑張っていきます!

2025.01.10

卒業制作

卒業制作開始から1ヶ月、塾に来てからはもう8ヶ月が経ちました。今頃になってようやく、量を描くための取り組み方、手の進め方の、自分に合った方法を見つけることができたような気がします。

今まではずっと、自分の実力を超えた理想主義によって、現実とのギャップや失敗を恐れて取り組みづらくなっていました。

しかし、考えすぎるのをやめて肩の力を抜いたら、完成に近づいていく事への喜びが、自分の内側から、湧き出てくるのを感じました。

より取り組みやすくするため色々と考えては失敗を繰り返して悶々としていたので、やっと自分に合った道具を見つけることが出来て嬉しいです。

卒業制作の中でこの道具をしっかりと使いこなせるようになり、成長のためのギアをどんどん上げていきたいです。

2024.11.29

卒業制作

入塾してから今日まで、日々の授業や課題を通して、アニメーション制作に必要なさまざまな知識や技術を学んできました。一つ一つの課題に真剣に向き合う中で、表現することの難しさや楽しさを実感し、多くの成長を感じることができました。そして、これまでの集大成ともいえる卒業制作が始まります。

現在はコンテ作業を進めている段階です。映像が完成した際にどのように動き、観る人にどのように伝わるのか。自分が伝えたいことを的確に表現するにはどうすればよいのかを考えながら描くこの作業は、想像以上に難しい部分も多く、試行錯誤の連続です。しかし、その中で創作の楽しさを感じています。

プロを目指す以上、限られた時間の中で自分がどれだけの作品を作り上げられるのかを見極めながら、全力で取り組んでいきたいと思います。

これまで4月から学んできたこと、そして自分自身の力をすべて注ぎ込み、悔いのない卒業制作を完成させるように頑張ります。