2021.11.05

取り組む姿勢

美術・背景科講師の内山です。

現在、私はアニメーター科の生徒と背景講座を通じて関わっています。
アニメーションの背景はどのように描かれているのか、実際に筆と絵の具を使用 して体験してもらいます。簡単な課題からスタートしていただくものの、最初は 皆さん大変苦労されます。そもそも筆はどのように持つのか、水はいつ使うの か、何色を混ぜればいいのか…悩みは尽きません。

アニメーターを志す方にとって、絵の具の扱いはあまり重要ではないかもしれま せん。しかし、一見関係ないと思えることが意外な形で役に立つ、ということは よくあるものです。

私自身、最近「画面の構図」について改めて勉強をしています。
背景マンは、基本的には指示通りの絵を描くことが求められるため、絵の構図を ゼロから考えることは多くありません。
しかし、アニメーションには偶然何かが映り込むということがないので、色や形 も含め、何をどの角度で映すのか、全て計算されています。どうすれば見栄えが いいのか、観た人はどんな気持ちになるか、伝えたいメッセージは何か…。計算 の上に成り立っているのであれば、背景を描く上でも、その狙いを最大限活かす ための絵作りを考える必要があります。意図を汲み取ることで、背景の描き方も 自ずと変わってくるのです。

何事も、考え方ひとつで取り組む姿勢は大きく変わるものだと思います。
学習したことを自分の糧にできるかどうかは自分次第。
この先、あのとき経験したことが今に活きていると思えるように、講師として精 一杯努めてまいります。

美術・背景科講師の平石です。

3月になりました。
29期前期生には最後の1ヶ月です。
カリキュラムは1年ありますが、いつもあっという間に過ぎます。

この期間に講師としてどれだけの事を塾生に伝えられたのかといつも考えます。
塾生一人ひとりに伝わりやすいと思う方法を考え、技術や考え方を話しても習得できることは、ほんの僅かな量です。
それだけ習得することは簡単ではないのだと思います。
しかし塾生は今できることをやるしかありません。

美術・背景科の卒業制作で描かれた絵からは技術以上の力強さを感じました。
これは塾生自身が試行錯誤した結果であり、表現したいという気持ちが絵に込められているからなのだと思います。
本人にとっては至らなかった、もっとこうしたかったという部分はあるでしょうが、この強い気持ちがあればどこまでも成長し続けられます。
今の精一杯を出し切ったならまた次の1歩へと歩みを止めることなくさらに進んでもらいたいです。

【京都アニメーション 美術・背景科 第29期前期生】

私は今B2サイズに背景を描くという卒業制作の2枚目に取り掛かっています。

卒業制作に取り掛かる際に、今まで講師の方からご教授頂いたことを踏まえつつ自由に描くということを決めていました。
一ヶ月という期間で日頃描いている4倍のサイズに向き合うと考えたときに、集大成として描きたいものと今の自分の実力とのギャップで出始めから悩み、終着点を見失い弱気になることもありました。
しかし、出来ないかもしれないという気持ちから妥協して選んだものは、後々保身に走ったことを後悔し制作も楽しめないと思い、最後には挑戦もかねた表現したい題材を選べたと思います。なので四苦八苦しながらも完成まで楽しく描くことができました。
また、今回思い切って挑戦したことで苦手なものと向き合うことへの自信もついたので、2枚目はより完成度の高い絵にしていけるよう励みたいと思います。

2021.01.29

背景について

美術・背景科講師の笠井です。
現在美術・背景科では、卒業制作に入っています。
普段は、B4サイズの紙に背景を描く授業ですが、卒業制作は、B2サイズと大きい紙に描きます。紙の大きさやデータ解像度が、大きくなればなるほど、沢山の情報が画面に映ってしまいます。
小さいサイズの物を単純にひき伸ばしただけですと、画面がぼやけてしまいます。その為、大きいサイズを描く時には、しっかりとした情報集めが大切です。
背景では物を描いた時、形が上手くいかない場合や何か物足りないと感じた時などは、物の用途や構造を調べます。人の作った物は、何かしらの使いやすさや、使用目的があり何を描いているかを意識したうえで、描くと実在する説得力が出ます。
自身も入社したての頃、上手く描けない時は、「その物の構造を理解していない」と先輩から教わりました。絵ですので感覚で描く事も大切ですが、情報集めの大切さを塾生にお伝えし、成長できる力に変えていって、いただきたいと思います。

【美術背景科 第29期前期生】

前期が終わり振り返ってみると、小さなところで衝突し続け、自分の成長する速度に悩むことも多くありましたが、小さい悩みであってもその過程があったからこそ、そこから気づくことや得られたものがあったのではないかと今では思います。

また、課題をこなしていく中での感覚的な実感や先生方からの専門性の高いご指導、会話の中での眼から鱗が落ちるような気付きなど自分の根本的な考え方が変わっていくのを感じながらとても充実した日々だったと思います。

塾生としての毎日で自分の課題を日々感じながらも、「背景をしたい」という強い気持ちは一日も変わらず、問題にあたるたびに絶対乗り越えられるはずという思いのもと過ごしてきました。

後期では、前期で先生方から教えて頂いたことを振り返りながら、まず自分で考え確かめていくことを大切にして自分の理想に近づけられるよう一日一日を大切に過ごしていきたいです。