2020.09.04

卒業制作

【美術背景科 第28期後期生】

 制作が無事に終わった今感じることは、自分の力量を分析して未来を見据え、 的確な計画性でそれを実行し、持続して制作できる力が大切だという事です。

 かっこよくて良い物を作りたいという理想とそれに見合った自分の技量との相違があったので、自分が今どれくらいの絵なら期間内に完成させる事が出来るのかを考え見極めるのが大事だと思いました。保守的になっても勉強にならないし、かと言って新しいことに挑戦しすぎると大失敗する恐れもあったので、レイアウト制作時には気を使いました。思い通りにいかない事があり精神的に辛い時でも、立て直せるように精神状態もコントロールしたり、急遽予定を変更したりなど、臨機応変に対応出来たので課題を通して自分自身も成長する事ができました。

 自分の技量不足により、上手く表現できない所や思い通りに描けない所もありましたが、好みの風景を描く事はやはり楽しく思え、自分の中で課題の意味合いを見出して制作していた事もあり、悩みながら描きつつも心の奥底では終始楽しみながら描けました。

美術・背景科講師の篠原です。
授業の中で絵をチェックしているとき、小手先の技術面の他に、そのものの構造について気になった箇所を指摘することがあります。
実在するものが違和感のあるように描かれていると、それが気になり上手い下手以前の問題になってしまいます。
構図や配色、線画の魅力なども大事ですが、“あるものをそれらしく描く”ということは絵に説得力を持たせる上で非常に重要であり、また想像以上に難しいことだと感じています。
普段よく目にしているものでも、いざ描いてみるとどこか違う、上手く描けない……というのは多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。
その度、あぁ知らなかったのだと気付いて一つずつでも覚えていく事、意識して目を向けていく事、そういった事が絵の上達に繋がっていく一つの方法なのかなと思います。
「食べているとき、寝ているとき以外は仕事をしているのと同じである。」と、入社したての頃に先輩から教わりました。捉えようによっては極端な話かもしれませんが、プロとしてやっていくならそれぐらいの意識を持って過ごすのが丁度良いと感じています。
塾生の今だからこそできる事を絞り出し、益々の上達に繋げていって欲しいと思います。

【美術背景科 第29期前期生】

現在は、白と黒の立方体、パースペクティブ、カラーの室内描写の課題に取り組んでいます。

まず白と黒の立方体の課題では、白と黒の絵の具量の差で立方体を描く際に色のムラであったり明暗の差、筆の跡などちょっとした要素で絵の雰囲気が変わってしまうため、画面上で違和感なく見せることの難しさを感じました。

次にパースペクティブの課題では、透視図を用いて見えない部分など正確に全体をイメージすることを線で学び、自分が今までなんとなくで奥行きや形の変化を描いていたのかを知りました。なので絵作りにおいてより説得力のある絵にするためにこれからも積極的に学び続けたいと思います。

カラーの室内描写の課題では、同じ室内の違う場所を5枚カラーで描くという内容ですが、置いてある物の質感や明暗の差を色の明度や彩度で表す難しさ、また5枚の絵の雰囲気を統一させるため絵の具の濃淡や明度での影色の落とし方などこの課題を通して色が持つ役割の多さや難しさを実感しました。

これらの課題では、白黒で塗る、奥行きを線で考える、カラーで塗るといった一見別々のものと考えていましたが、どの学びも関連しており一つ学んだら他の作業の時に意識する点が明確になったりと全ての学びは繋がっているということがわかりました。なので様々な方面の知識を得ることで絵作りに対して見える幅が広がり、成長する速度が上がるように感じたので数をこなす練習で感覚を養うことも大切ですが、関心を持つ幅を広げ知識も積極的に増やしていこうと思います。

塾が再開し、課題を通して講師の方からご教授して頂くたびに自分の意識の甘さを痛感しプロとして描くということの責任を感じて身が引き締まる思いでした。また、空回りすることも多くあるけれど失敗した時にも必ず発見があり諦めずに繰り返し試していくことで、自分なりの答えを見つけることができることもわかりました。

2ヶ月の自粛期間を経て、同じ志を持つ仲間がいることや、多くの気づきを与えてくれるプロの講師の方々がいる環境の有り難さをより強く感じました。自分がいかに恵まれている環境にいるかということを自覚し一日一日を大切にこれからも精進していきたいです。

2020.06.19

画材を知る

初めまして、美術・背景科講師の内山です。
絵具の乾くスピードで季節を感じる今日この頃です。

現在、背景科の授業では「ベタ・グラデーション」の課題に取り組んでいます。
「ベタ」とは1色で均一に塗ること、「グラデーション」とは2色以上を段階的に塗っていき、階調を作ることです。どちらも筆と絵具を使用して描いていきます。

こちらは青と水色のグラデーションの一例

実際に空を見上げてみると、このように明るい青から暗い青に色が少しずつ変化していることがわかると思います。

一見簡単そうに見えるこの課題ですが、いざ取り組んでみると想像以上の難しさに驚きます。絵の具と水のバランス、筆運び、紙の濡れ具合など…気をつけるべき点がたくさんあり、最初から綺麗に描くことができる人はまずいません。
私自身、最初は適切な水の量が解らず、ムラや筆跡がたくさん残っていたことを覚えています。

アニメーション背景で使用するポスターカラーという不透明水彩絵具。
この画材がどういうものなのか、まずは特徴を理解しなければ扱うことはできません。課題を通して何度も試行錯誤を繰り返すことにより、ポスターカラーの特性を身体に覚え込ませることができます。

全ての風景はベタとグラデーションで成り立っているといっても過言ではありません。
アニメーション背景の基礎の基礎となる部分ですので、しっかりと向き合ってほしいと思います。