月日が経つのは早いもので、もうすぐ後期が始まります。

現在レイアウトの課題に取り組んでいます。
レイアウトでは何を見せて何を伝えたいか、空間をどう見せるかを描く重要な工程です。

レイアウトを描く中で「見る人に何を伝えたいか」を考えて描くことが一番大切ということを学びました。魅力的な画面を作るためには感覚だけでなく考えて描くことが重要になります。カメラの位置、カメラのレンズ感これだけでも見ている人の印象を大きく変え何を感じるのかも変わっていきます。

そこをコントロールするためにはパース感覚は必須になってきます。そもそもパース感覚が身についていないとフレーム内に表現したいものがうまく描き出せません。私自身パース感覚が弱く表現したいことを表現しきれないことがあり、もどかしく感じることが多々あります。

「見ている人に何を伝えたいか」を考え画面を描きおこすことは本当に難しいです。ですが同時に、こう描いたらどう感じるだろう?ここはどう伝えよう?と見る側と作る側両方の立場に立ち考えながら画面を作り描いていくことは楽しく、やりがいを感じています。

この課題に取り組んでから今までただ観ていた映像作品から、ここの見せ方いいな、ここをこうしたらもっと効果的かも?と考えるようになり日々観察、勉強の繰り返しで表現の幅を広げられるなと実感しています。何気ないカット一つ一つ全てに伝えたいことが詰まっており自分が考えていたことは表面上の一部に過ぎず、画面を作るという奥深さに驚かされました。

これからより観察し自分の伝えたい、表現したいを絵に落とし込めるよう取り組んでいきたいと思います。

現在取り組んでいる課題は「立ち止まる、走り出す」というものです。
一度は目にしたことがある日常芝居なのに自分の思うように描けないことばかりで、もどかしさを感じています。自分で動いてみても、固定概念が邪魔をして本来の自然な動きが出来ないことも多いです。
走った状態から立ち止まる時、私は立ち止まる時に勢いで前傾姿勢になるだろうという固定概念がありその考えに縛られて描いていましたが実際はスピードを落とすために体の重心を後ろに置くような動きをしているのを見て驚きました。

大まかな理屈が理解出来てもいざ紙に描こうとすると頭の中のイメージがぼやけていて上手く再現できないので、観察しているつもりでも全く出来てないんだなと感じることばかりです。
この課題に限らず、いつも講師の方から観察することの大切さを説明していただく度に自分が観察できていると思っていても実際はまだまだ足りないということに気が付きます。
街を歩いている時や電車に乗っている時間も、何気ない人の自然な動きをコピーできるくらいしっかり観察して、アニメーションに落とし込めるようになりたいと思います。

6月も終わりに近づき、夏の日差しを感じられる時期になりました。
季節の移り変わり共に、プロ養成塾での日々が自分にとって日常になっていくのを感じます。
それでもなお、決して気持ちは緩むことはなく、入塾当初より「アニメーターになりたい」という気持ちがより強くなっています。

今は、「驚く」「立ち上がる」などの動きの原画や、中割り、クリンナップといった動画作業などの課題に取り組んでいます。
学んだことは多岐にわたり、この場では語りきれないほどですが、私にとっての最大の学びは『気づき』の大切さです。

入塾してからというもの、日々自身の画力の足りなさを実感しています。その度に悔しい気持ちでいっぱいになり、どうしたらこのモヤモヤから抜け出せるのか模索しながら描いています。

しかし、そういったことを繰り返していくうちに描いている時の自分の意識や感覚が変わったと感じます。何も分からないまま必死に描いていた時より、モノの軌道や、キャラクターの重心など、自分の間違いに自分で気づき、悩める幅が広がったのです。
そしてアニメを描くことが楽しくなってきました。

これは、講師の方からご指摘を受けることで自分の中で『気づき』が生まれ、次に活かすことができているからだと思います。

描くことを楽しむというのは、簡単なようで難しいです。上手く描けずに悩み、落ち込んでしまう日々が続くとネガティブな思考に陥ってしまい、描くことが楽しくなくなってしまうこともあります。
しかし、そういう気持ちで描いた絵は必ず良い絵にはなりませんでした。
「楽しまなければ良いものはできない」というのは絵に限らず、歌や踊り、演技など全ての表現活動に当てはまることだと思います。
なので、私はより多くの『気づき』を得られるように積極的にアニメーションを研究し、学び、自分の表現の幅を広げていきたいです。

また、不安や焦りから、空回りしてしまうこともあるので、一つ一つの課題と丁寧に向き合っていきたいです。

そして、決して後悔のないようにいつも全力で、楽しみながらプロ養成塾での日々を過ごしていきたいです。

2023.04.28

画角

こんにちは。

プロ養成塾講師の太田です。
 
新しい年度となり、今年度のプロ養成塾も揚々とスタートしました。塾生たちのアニメーションを学ぶ熱意も、例年と変わらず感じられています。

さて、そんな中、私が最初に受け持った講義が「画角」についてでした。

聞き馴染みのない人も多い言葉だと思うので簡単に説明すると、「画角」とはカメラで映して見える範囲のことを言います。…要は、画面に映る映像(画像)そのもののことです。

アニメの画面は、実写やフルCGアニメなど他の映像作品と同じく、カメラのレンズを通して見えるものを基本として作っています。例えば、眼前に拳が迫ってくるような迫力ある画面を作りたいなら広角カメラレンズを。スポーツ中継のような、遠くから見た画面を作りたい時は望遠カメラレンズを。アニメでは、それぞれのシーンに合ったカメラレンズで見える景色を”絵で表現”します。「画角」の講義では、どのようにすれば皆がこれまでに見てきたアニメや映画・ドラマの、あのカッコイイ!画面が作れるのか、基礎的な絵作りの仕組みを講義しています。

やはり”絵で表現”するというのがアニメ最大の特徴です。本物のカメラやデジタルでは難しい、ケレン味のある嘘や空間を自然に、自由に作り出せます。そして、人の手で描いた画面には、同じカメラレンズを意識して描かれたものであっても人によるクセや感覚の差異によって個性が現れ、その個性たちが作品に意外性のある魅力を付加します。それがたまらなく面白いのです。

プロ養成塾の塾生たちも、当然、その面白い個性を秘めているはずです。私たち講師は塾生たちのその個性をしっかり発見し、それを遺憾なく発揮できる力を塾生たちが身に付けられるよう、これからの一年に向き合って行こうと思います。

アニメーター科講師の樫原です。

ただ今卒業制作中です。

絵コンテから動画までひとりで作りあげる大作に取り組んでいます。

全てのカットにおいて日々試行錯誤の連続だと思いますが、入塾してから表現の幅も広がり、アイデアも膨らませられるようになってきました。
自分のこだわりを大切に今まで学んだ全てを作品にぶつけてほしいです。

完成する頃には、かけがえのない経験を得てクリエイターとしてさらなる成長をしていることでしょう。

塾生が思い描く作品に少しでも近づけるよう講師間で連携し、できるかぎりのサポートをしていきます。