アニメーター科講師の大野です。

今の時期は、前期生が卒業制作のラストスパートからいよいよ完成させる頃です。
また後期生はレイアウトの授業や動きの課題に取り組んでいます。

私はその中で動きについて担当しています。

絵を動かすことはアニメーションの一番面白いところです。
塾生には、課題・制作で動かす面白さがより感じられるといいなと思いながら授業をしています。

課題を取り組む塾生にとっていざ描き進めると、イメージはあるのになかなか思うように描けないときがあり、苦しいと思います。
それを講師が塾生の表現したいことを受け取り、より良くするにはどういったことをすればいいだろうと一緒に悩み、考えながら伝えています。

塾生のあげてくる絵をみていると、同じ課題であっても一人一人が想像するシチュエーションや感情・ポーズは全部違っているのでアニメーションの可能性の広さ、面白さを改めて感じます。

画力や技術は一朝一夕で成長はできませんが、塾で続けてきたことが半年後・一 年後に自身の変化としてきっと感じられると思います。そして絵を動かすこと、アニメーションづくりの面白さを感じてもらいたいです。

卒業制作が始まり早くも二ヶ月が経ちました。
私は日本史の〈戦国時代〉を題材にした作品を制作しております。
卒業制作はこれまでの半年間でインプットしたアニメーション制作のための知識・技術をアウトプットする時間であります。この期間で塾にて教わった授業内容が卒業制作になって再学習されているなと実感しています。その中で特に重要だと実感したものが二つあります。

一つ目はアニメーションにおける「メリハリ」です。これは「武士が主人公に向けて弓矢を放つ」シーンを制作している時に実感しました。
始めに「武士が弓を引き、放った弓矢が勢いよく進んでいく」一連の動作を自分が思うイメージのままに制作しました。しかし完成映像からはどこか迫力に欠ける平坦な印象を感じてしまうものになってしまいました。
そこで講師の方にアドバイスを伺うと「メリハリを意識してみたら?」という助言を頂きました。助言を受けて、「武士が弓矢を弦いっぱいに引き絞る」=「タメ」の時間と、「放たれた弓矢が一瞬にしてトップスピードに達する」=「開放」の時間の二段階を意識して修正をおこないました。すると「ズバッ」とスピード感と迫力のある作画を表現でき、イメージに近しい映像をつくることができました。タメと開放、静止と運動、緊張と緩和などを包括的にした「メリハリ」がアニメーションにおける根本的な原理であり、この体験を受けて作画に「メリハリ」が加わることがいかに重要かこれまで以上に感じることができました。

二つ目は「観察」です。
上述した弓矢を放つ作画をするうえで、実写やアニメの弓道シーンを注意深く観察しました。スロー再生で一コマずつ映像を観てみると、弓矢をカメラが捉えきれず、弓矢が二重にブレていたり、しなって「くの字」に湾曲していたり、といった一コマが映像の中に潜んでいました。このような一コマが加わることでスピード感のある映像が生まれているのだと知ると同時に、ただ呆然と映像を見ているだけではこのような発見には至らないのだと自身を省みる良い機会となりました。
この体験を受けて「観察」の深度が高まったと実感しています。今後もあらゆる映像をコマ送りで見ることを意識しておこなっていきたいと思います。

これまでの塾で学んだ「メリハリ」と「観察」がより一層大切であるとこれまで二ヶ月間の卒業制作で気づかされました。この経験を残りの一ヶ月間に生かして、完成した作品が理想の映像となるよう頑張っていきます!

2024.10.25

1年間の目標

私は今年の5月にプロ養成塾の後期生の募集を見つけてから、様々な審査を経て10月よりアニメーター科に入塾しました。

入塾してからまだ1週間しか経過していませんが、新たな環境での生活や初めて得た知識、学んだ技術はあまりにも新鮮で、今日は何を学べるのだろうと胸を躍らせながら毎日を送っています。

講義で教えていただいたことはもちろんのこと、それ以上に様々な知識や技術を漏らすことなく失敗を恐れずに自分の武器として身につけて何事にも全力で取り組んでいきます。

また、塾の初日の授業にてなぜアニメーションを作りたいのか、どんなアニメーションを作りたいのか、良いアニメーションって何か、良い演出とはなにか、という講師の方の質問で深掘りしていただき、そこで自分自身のアニメーションに対する考え方や思いを再確認できました。そして、まるで生きているようであたかも本当に命が吹き込まれているような作品が良いアニメーションだと、当たり前のことかもしれませんがとても大切なことを学びました。そして、日常に潜む「感動」がとても大切であることも学びました。

如何せん、今の私はアニメーションや絵に対する技術や知識は独学であったため今のままではアニメーターにはなれません。

1年後、自分はどんな技術や知識を習得してどんなアニメーションの画を描くようになっているのか楽しみになってきました。

日々の感動と興奮と発見を大事にし、経験と知識を積極的に得て、技術的にも精神的にもプロのアニメーターになれるように努力し続けることが1年間の目標です。

アニメーター科講師の堀川です。早いもので33期前期の授業も終盤です。塾生達も半年前と比べて着実に成長している様に感じられます。前期入塾の塾生は、後期ではさらに発展した内容の授業と卒業制作に臨みます。

さて私は現在クロッキーの授業を主に担当しています。ポーズをとった人物を、3分や1分の短い時間でひたすら描いていく授業です。アニメーションの作画では多くの絵を、限られた時間で描いていく事が求められます。クロッキーはそういった力を付ける一つの方法となります。

沢山描く事ももちろん大事なのですが、授業で特に大事にしているのは、描いた物を見返して、フィードバックする時間です。クロッキーを終えた後、皆で各々描いたスケッチブックを並べて、どうだったか意見交換を行います。限られた時間内で、どうアプローチすればより説得力のある絵が描けるかお互いに刺激しあい、次に向けてどういう点をより磨いていけばいいかヒントを得ます。

絵を描く事自体は一人で取り組むものですが、講師や塾生仲間とのコミュニケーションを通して成長していけるのは、塾の大きな魅力です。またアニメーション制作の現場でも多くのスタッフがお互いに意見を交換しあい、磨きあい、作品を作っていきます。

仲間と成長していける場の大切さを、塾の授業でも実感してもらえればと思っています。

塾がはじまり早くも3ヶ月が過ぎました。入塾してからの日々は毎日が多彩な発見・気づきにあふれており、この3ヶ月間は驚くほど一瞬の事だったように感じます。
現在はレイアウトの課題に取り組んでおります。レイアウトを描く上では『イメージを持つこと』が大切なことであると学びました。
私は今まで資料を忠実に再現したり、パースなどの理論に重きを置く理屈的な絵の描き方をしており、その結果、絵全体が固い印象となってしまうことに悩んでいました。この課題で講師の方から『理屈や理論よりもイメージを第一にすべきである』というアドバイスをいただき、自分が持つイメージ力に真摯に目を向けるきっかけとなりました。それからは「自分自身が〈イケてる〉と思える絵を表現できるか」また「レイアウトから完成した映像をイメージできるか」など理屈ではないイメージを基調とした取り組み方を意識するようになりました。
しかしいざレイアウトを完成させても自分が思っていた仕上がりには程遠い場合がほとんどです。その度に自分の画力不足、さらにはイメージを紙に描き出す難しさを痛感しています。良い絵を書き起こすためにはイメージ力だけではなく、それを紙の上に再現できるだけの画力も求められます。したがって普段から映画・アニメ鑑賞による「質の高いイメージ」のインプットと、模写・クロッキー・デッサンによる描く対象への「理解力・画力」の底上げを図り、両者の掛け算で『自分のイメージを忠実に再現できる技術』を身につけていくことが今後の目標であると思います。
また養成塾では教えを乞う立場ではありますが、根本には自発的に「楽しみながら描く」という気持ちを持ち続け、残りの期間も全力投球で頑張りたいと思います。