美術・背景科講師の篠原です。
授業の中で絵をチェックしているとき、小手先の技術面の他に、そのものの構造について気になった箇所を指摘することがあります。
実在するものが違和感のあるように描かれていると、それが気になり上手い下手以前の問題になってしまいます。
構図や配色、線画の魅力なども大事ですが、“あるものをそれらしく描く”ということは絵に説得力を持たせる上で非常に重要であり、また想像以上に難しいことだと感じています。
普段よく目にしているものでも、いざ描いてみるとどこか違う、上手く描けない……というのは多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。
その度、あぁ知らなかったのだと気付いて一つずつでも覚えていく事、意識して目を向けていく事、そういった事が絵の上達に繋がっていく一つの方法なのかなと思います。
「食べているとき、寝ているとき以外は仕事をしているのと同じである。」と、入社したての頃に先輩から教わりました。捉えようによっては極端な話かもしれませんが、プロとしてやっていくならそれぐらいの意識を持って過ごすのが丁度良いと感じています。
塾生の今だからこそできる事を絞り出し、益々の上達に繋げていって欲しいと思います。

2020.07.29

立ち上がる

初めまして、アニメーター科講師の熊野です。
現在、立ち上がる動きの授業を担当しています。

授業では、始まりの絵と終わりの絵は同じ物を渡して「立ち上がる」を描いてもらいました。当然ではありますが塾生の一人ひとりに動かし方の個性があり、アニメーションの面白さを感じながら授業を進めています。

「立ち上がる」は日常動作の一つなので、実際に自分で体を動かしたり、他の人の動きを観察したりと実体験を反映しやすい課題です。

今回、課題に取り組むにあたって、重心の移動や動作の軌道、動きのタイミング等を考えていく中で普段は気にしていないところに意識を向けることにより、発見があると思っています。

授業に限らず日々の発見を積み重ねて、成長につなげていってもらいたいと思います。

はじめまして、アニメーター科講師の宮城です。
前回はクロッキーの授業を担当しました。

クロッキーは描いているときはもちろん勉強になりますが、実はモデルをしているときも意外と勉強になります。

1分という時間は、描く側からすると、なんて短いんだ!と思いますが、モデルの側からすると、1分ってこんなに長かったっけ!?と、手を上げたポーズなどとっていると、だんだん手が下がってきてぷるぷると姿勢が保てなくなっていきます。

しかし、そのぷるぷるも含め、実際にポーズをとることで、そのポーズの重心がどこにあるかなど、”体感”することができます。

絵を描くとき、この“体感”を絵に込めようと意識することはとても重要です。

机に座って描いているだけだと、ついこの“体感”を忘れてしまい、人形のように、どこに力が入っているのかわからない人を描いてしまうことがあります。

少し立って、ポーズをとるというだけで驚くほど発見はあるのです。

クロッキーのモデルをしているときも同じく、一つのポーズを長時間とるなかで、きっといろいろな発見があり、人体への理解が深まるはずです。

この小さな発見を、なんとか紙に落とし込もうという強い意思が、その人の絵を変える大きな力になると思います。

2020.07.01

クロッキー

アニメーター科講師の佐藤です。
本年度はクロッキーの授業を主に担当しています。

クロッキーは瞬時にシンプルな線で対象の形を描き出す能力を鍛えます。 アニメーターは素早く正確に大量の絵を描かなければならない仕事です。 私はこの能力を鍛えることがアニメーターとして活躍していくためには非常に大切だと考えています。

最近の授業では、ポーズの1周目は4分。2周目は3分。3周目は2分。4周目は1分。 以降はずっと2分で行っています。この時間の使い方は塾生自身に任せています。
私の時間の使い方はは4分、3分は時間が余るので人物以外に背景を描きこむことが多いです。
2分より短くなると人物中心になります。
特に1分ともなると少ない時間で対象を必要最小限の線で素早く的確に描かなければなりません。
必然的に集中力が研ぎ澄まされていきます。
雑念が消えた結果でしょうか、2分のときより良い絵が描けてたりします。 私もまだまだ学ぶことが多いです。

クロッキーは描けば描くほど上達していきます。
塾生の皆さんも授業時間以外でもガシガシ描いてもらって上達していって欲しいと思っています。
共に上を目指して進んでいきましょう。

2020.06.19

画材を知る

初めまして、美術・背景科講師の内山です。
絵具の乾くスピードで季節を感じる今日この頃です。

現在、背景科の授業では「ベタ・グラデーション」の課題に取り組んでいます。
「ベタ」とは1色で均一に塗ること、「グラデーション」とは2色以上を段階的に塗っていき、階調を作ることです。どちらも筆と絵具を使用して描いていきます。

こちらは青と水色のグラデーションの一例

実際に空を見上げてみると、このように明るい青から暗い青に色が少しずつ変化していることがわかると思います。

一見簡単そうに見えるこの課題ですが、いざ取り組んでみると想像以上の難しさに驚きます。絵の具と水のバランス、筆運び、紙の濡れ具合など…気をつけるべき点がたくさんあり、最初から綺麗に描くことができる人はまずいません。
私自身、最初は適切な水の量が解らず、ムラや筆跡がたくさん残っていたことを覚えています。

アニメーション背景で使用するポスターカラーという不透明水彩絵具。
この画材がどういうものなのか、まずは特徴を理解しなければ扱うことはできません。課題を通して何度も試行錯誤を繰り返すことにより、ポスターカラーの特性を身体に覚え込ませることができます。

全ての風景はベタとグラデーションで成り立っているといっても過言ではありません。
アニメーション背景の基礎の基礎となる部分ですので、しっかりと向き合ってほしいと思います。