はじめまして、アニメーター科講師の宮城です。
前回はクロッキーの授業を担当しました。

クロッキーは描いているときはもちろん勉強になりますが、実はモデルをしているときも意外と勉強になります。

1分という時間は、描く側からすると、なんて短いんだ!と思いますが、モデルの側からすると、1分ってこんなに長かったっけ!?と、手を上げたポーズなどとっていると、だんだん手が下がってきてぷるぷると姿勢が保てなくなっていきます。

しかし、そのぷるぷるも含め、実際にポーズをとることで、そのポーズの重心がどこにあるかなど、”体感”することができます。

絵を描くとき、この“体感”を絵に込めようと意識することはとても重要です。

机に座って描いているだけだと、ついこの“体感”を忘れてしまい、人形のように、どこに力が入っているのかわからない人を描いてしまうことがあります。

少し立って、ポーズをとるというだけで驚くほど発見はあるのです。

クロッキーのモデルをしているときも同じく、一つのポーズを長時間とるなかで、きっといろいろな発見があり、人体への理解が深まるはずです。

この小さな発見を、なんとか紙に落とし込もうという強い意思が、その人の絵を変える大きな力になると思います。

【アニメーションドゥウ アニメーター科 第29期前期生】

塾が始業し早3か月が経ちました。4月中旬から5月末まで続いた自宅学習期間も終わり、 やっと元通りの通塾生活が戻ってきました。3か月も課題をこなし続けていると、そろそろ自分の課題がハッキリしてくる頃です。

現在私は、クリンナップから中割りに移行した段階にあります。まず、大まかに言いますとクリンナップとは原画を一本線の滑らかな絵に仕上げる作業です。新人アニメーターが最初に取り掛かる作業行程であり、これができないと始まらないとのことでした。そしてこの次の段階が中割りになります。原画と原画の間に絵を足し、対象物の動きを滑らかにする仕事です。

次の段階と記しましたが、作業量が増えたとしてもクリンナップの心得を忘れてはなりません。講師陣からは度々「クリンナップはなぞるだけの作業ではない」「対象物の形を捉え、(表情は特に)ニュアンスを拾うのが大事」「柔らかい線を」など指摘を受けます。頭では分かっていても目先の線にしか注意が向かず、なかなか思う線が引けませんでした。

そんな時、塾が再開して間もない日の授業で、クリンナップの添削をしていただいた時の事でした。講師の先生に目の前で私のクリンナップを描き直していただき、驚いたのです。Youtubeに、画質設定のボタンがあると思います。144pは最も粗い画質設定ですが、これが私のクリンナップ品質と考えてください。その上から講師の先生が描かれた途端、最上画質の1080pになってしまったのです。これが画面でなく、紙面上で行われたものだった(そして、こんな場面を目の当たりにするのは人生で初めての経験だった)ので、とても驚きました。それに、作業風景を間近で見ることによって、度々指摘をいただいていた事がはっきりと理解できたのです。それ以降私のクリンナップはガラっと変わり、日々自分の思うような線に近づきつつあると感じております。

数を描くのは勿論大切です。ただ、この経験から「見る」ことも同じかそれ以上大切だと実感しました。

【アニメーションドゥウ アニメーター科 第29期前期生】

現在取り組んでいる作画課題「飛び越える」で得た学びをお話します。

アニメーションは人物、感情、空間、物、風、光も影も言ってしまえば全てが嘘の作り物です。
ではなぜ作品を観ていて登場人物に深く共感したり、目が腫れるまで涙を流したりドキドキするほどの勇気が溢れてきたりするのでしょうか。

まず、アニメーションの作画ではキャラクターが動いているように見せる為に実際の人間の動作より誇張させたポーズでキャラクターを描けねばなりません。
しかしその一方で、一連の動きとして嘘にならない現実味のあるもの、リアリティーも求められます。

誇張とリアリティー、双方の兼ね合いの末にキャラクターは説得力のある動きになり、説得力を持った存在になるのだということを学びました。

そのように「生きている」という説得力を作品の中のキャラクターひとりひとりがしっかり持っているからこそ、共感、感動、興奮ができるのかもしれません。
そしてその説得力のある動きを作り出すことがアニメーターだからこそできることのひとつなのだと思います。

このような気付きや学びのひとつひとつを大事に、焦らず零さず一歩ずつ進んでゆきます。

2020.07.01

クロッキー

アニメーター科講師の佐藤です。
本年度はクロッキーの授業を主に担当しています。

クロッキーは瞬時にシンプルな線で対象の形を描き出す能力を鍛えます。 アニメーターは素早く正確に大量の絵を描かなければならない仕事です。 私はこの能力を鍛えることがアニメーターとして活躍していくためには非常に大切だと考えています。

最近の授業では、ポーズの1周目は4分。2周目は3分。3周目は2分。4周目は1分。 以降はずっと2分で行っています。この時間の使い方は塾生自身に任せています。
私の時間の使い方はは4分、3分は時間が余るので人物以外に背景を描きこむことが多いです。
2分より短くなると人物中心になります。
特に1分ともなると少ない時間で対象を必要最小限の線で素早く的確に描かなければなりません。
必然的に集中力が研ぎ澄まされていきます。
雑念が消えた結果でしょうか、2分のときより良い絵が描けてたりします。 私もまだまだ学ぶことが多いです。

クロッキーは描けば描くほど上達していきます。
塾生の皆さんも授業時間以外でもガシガシ描いてもらって上達していって欲しいと思っています。
共に上を目指して進んでいきましょう。

【京都アニメーション アニメーター科 第29期前期生】

暗中模索の言葉通り、何もかもがとにかく手探りでした。
講師の方々からの総評は毎度的確で、的確だからこそ刺さるものがあり、悔しさがこみ上げました。

描いても描いても納得できず、こうじゃない。こう描きたいんだ。 頭で思い浮かべる理想に自分の技術が追いつかないもどかしさ。 劣等感に駆られる日々。

鉛筆が短くなる度に自分の中でも何かが削られていく、そんな気持ちになる事もありました。

しかし、自分の中枢にある『絵を描く事が好き。動かす事が好き。描きたい。』という気持ちだけは、削られる事なく寧ろ磨かれていました。

自宅課題を通し、受け身の姿勢だった私ですが、今は悔しさやもどかしさを『好きだから上手く描きたいから、もっと知ろう。知りたい。』という探究心に変化させることができました。

【京都アニメーション アニメーター科 第29期前期生】

入塾してから気づけば2ヶ月が過ぎ、入塾式で講師の方々が口を揃えておっしゃっていたように、本当に一年はあっという間だという実感が、暖かい空気とともに肌に感じられます。

私が自宅学習を通して学んだことは、『アニメーション技術・表現の難しさと奥深さ』です。

まずはクリンナップや中割りといった動画の課題です。筆圧や線の濃さなどを意識しながら、原画のニュアンスを汲み取り線を整えるのは容易ではなく、講師の方に修正をしていただきながら進めました。繊細かつ滑らかな線、そして魅力的で美しい動画にすることを目指し、これからも日々練習です。

次に動きの作画課題です。いざ実際に手を動かしてキャラクターの動きを形にしようと思った時に、上手く表現できないもどかしさが募る毎日でした。少しの絵の違いで動きの流れも大きく変わり、良くも悪くもなります。トライアルアンドエラーを繰り返す中で、アニメーションを体得する道のりの険しさを知り、またそれがアニメーションの奥深さでもあると感じました。『より良い絵を!』と意識を高めるきっかけにもなったと思います。

レイアウト課題では、カメラを意識した構図づくりや絵づくりに苦心しました。主題を明らかにし、フレームの中に空間・キャラクターをどう収め、見た人にどう印象づけるのか。こちらも実際にやってみると、絵としての魅力を上手く引き出しきることができず、基礎画力・空間描写力が足りないなと感じました。

全体としては、今回自宅学習として課題に取り組み、講師の先生とのやり取りの中で得られた『気づき』は、今まで自分がやってきたことを振り返ることにもなり、同時にこれからやるべきことが少しずつ明確化してきたと思います。まだまだ自分に足りないものが山積で不安はありますが、『何としてもプロのアニメーターになってやるぞ!』という気概を胸に、これからも一つ一つの壁を乗り越えていきたいです。

アニメーター科講師の黒田です。

コロナの影響もあり
4月、5月と塾生には自宅で課題作業をしてもらっていました。
制限された環境の中、皆それぞれ熱心に課題に取り組んでいたと思います。

そして入塾から2カ月経ちました。
授業内容は塾生皆同じでも、その中で自身のクリアすべき細かい課題がそれぞれ見えてくる頃かと思います。
その課題によって伝える内容も、受け取る内容も違ってきます。

今クリアすべき課題は何か、出来る事は何か、自分でしっかり考えて実践していかなければならない時期です。
楽しむ気持ちは忘れず、更に向上心を持って授業に取り組んでもらえればと思います。

我々講師も顔を合わせて教える、教わることの大事さを改めて実感しつつ塾生一人一人と向き合い、一緒に考えながら、それぞれに適したサポートをしていきます。