はじめまして、ぴん球といいます。卓球好きの原画マンです。
ただ今公開中「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のあるシーンを描いていた時のエピソードです。
私はこの劇場版で、どうしてもやりたいシーンがあったので、監督に言ってやらせて貰ったシーンがありました。シーンをやると決めた日からずっと考えて、粘って研究し、他の原画マンや作画監督いろんなスタッフにアドバイスを貰って、ようやく良い動きが出来たので、監督にチェックして貰っていた時のこと
ぴん球 「どうっすか!? なかなか良くなって来たでしょ!」
監督 「……悪くない、良くなって来ている ………が」
と監督は、自分の作ったシーンを何度も見返して、しばらく考えたあと
監督 「……………思いついた。」
ぴん球 「………何をです……?」
監督 「いやっ、結構大変になるけど、……聞きたい?」
ぴん球 「(恐る恐る)……も、もちろんです。」
監督 「ここで、 ヴァイオレットの正面から一瞬突風が吹く、ヴァイオレットは一瞬ひるむけれど、その風に立ち向かうように、前へ前へと進んでいく、どうやろ?」
ぴん球 「………!? なるほど……確かに………、そのほうが、ヴァイオレットがより必死な感じがでますね。」
監督 「そうそう、コンテのときはここまで考えてなかったけど。シーン見てたら思いついたわ。そこそこ大変な描き直しになると思うけど、いける?」
ぴん球 「もちろんです!」
監督 「じゃ、よろしく!」
自分としては、今出来る精一杯のカットを作ったつもりでしたが、実は心の奥底で、何か、もっと出来ることがあるんじゃないかと思うところもありました。
そこにきて、監督のアイデアはドンピシャリ!
自分の求めていたものは“これだ!”と、なんだかうれしい気持ちになってしまい、再び描くことは大変ではあったのですが、終始楽しみながら、カットを完成させることが出来ました。
このカットは自分一人では、恐らくどれだけ考えても、このアイデアには辿り着けなかったと思います。しかし、いろんな人に聞いて、みんなのアイデアを貰うことで、ようやく辿り着くことができました。
私たちは、一人でなく、みんなでアニメーションを作っています。
周りを見渡せば一緒に切磋琢磨するスタッフが沢山いて、互いに高め合い、喜びを分かち合うことができます。
これは、ほんとに素敵なことだなと、制作をする中で改めて感じました。
これからも、こうして作品が作っていけるように
まず自分が精一杯、真摯に仕事と向き合うことが出発点だと思いますので、これからも精進していきたいと思います。